安彦良和作品ガイド

■現在位置
 TOPページ > 安彦良和WorkList-Comic > アリオン

 >SF COMICS リュウ 安彦良和関連コレクション

アリオン


安彦良和 (著)
初出 ・徳間書店/月刊「リュウ」
・1979年5月号〜1984年11月号掲載

アリオン (1)
中公文庫―コミック版


amazonへ
ジャンル
キーワード
・ギリシャ神話
・ファンタジー
・剣アクション
・微妙にSF
オススメ度 ★★★☆☆
出版データ詳細 出版データ詳細徳間書店/アニメージュコミックス
出版データ詳細徳間書店/アニメージュコミックスデラックス
出版データ詳細中央公論社/中公文庫コミック版
出版データ詳細嶋中書店/アイランド・コミックス版


主役を喰う脇役、プロメテウスの活躍

●ギリシャ神話をモチーフに、主人公アリオンの成長と冒険を描く異色作。神話の神々であるゼウスやポセイドンなどが、人間として生々しく描かれている姿が興味をそそる。実際、天上の神であるゼウスは陰気臭く、猜疑的で狡猾な策士として描かれたり、ポセイドンは力ずくで欲しいものを全て奪い取らねば気がすまないオッサンとして描かれたりと、赤裸々な人間ドラマを物語の主軸として据えている点が面白い。

この神話の人間ドラマ化というテーマは、御大の以後の作品である「ナムジ-大国主-」「神武」などの古事記伝シリーズに引き継がれ、氏の歴史漫画家としての源流になる作品となるのだ。

このアリオンは、流石に20年以上も前の作品で、漫画家としての処女作でもあるため、現在の絵柄と異なることに気が付くだろう。特に初期の頃はアニメ的手法が入った、他の漫画家に見られない、筆が表現する柔らかで丸みを帯びた独特なタッチがうかがえる。枠線の取り方が独特すぎて読みにくい、と言う意見もあるが、オレは何とも気になりませんし、一読する価値は充分あります。

一方ストーリーはどうなのか?、という点だが、1000枚以上の長編で、御大の代表作でもあり、腰を据えて読める出来栄えに仕上がっている。しかし、主人公のアリオンが最後まで周囲の人々に騙され利用され、振り回されて落ち込む姿に、「こいつアホかぃ」と、イライラくる人も結構多いのではないでしょうか? 最後に至っては、自分の力でなく人に助けられてラスボス?を倒す主人公らしからぬ姿に共感できない方もいるかもしれません。

こんな情けない主人公ですが、さらに彼は脇役プロメテウスにその主役の座を食われてしまいます(笑) 第4巻「プロメテウスの章」は、一連のアリオンの物語に組み込まれながらも、プロメテウスの物語としても読める、一冊の本として独立してしまっているのだ。したがって4巻では扉絵以外、ほとんどアリオンが出てこない(笑)という凄い展開になっている。主人公が出てこない漫画など、今まで読んだどの漫画でもありえない話なので、子供心に「なんじゃゴラァ!」と、驚いたりした記憶がある。

しかしながら、「アリオン」全体の物語を構成する上で、このサイドストーリーは避けて通れない物語なのだ。そう、実はこのプロメテウスこそが、物語の裏主役なのである!(個人的意見です) 幼くして父親に捨てられ、頼った母にも騙されたゼウスが復讐のために暴走し、ついには友人プロメテウスをも殺そうとする。そして、プロメテウス自身も、後先を考えず自分の想いを貫いたばかりに大切な人を失ってしまう。

プロメテウスはゼウスに言う、「生きることの勝利者になろうとした君は、結局は、生きるということの意味をすら知ることなく朽ち果てていく」と、そうした二人の過去があり、そして時を経て黒の獅子王が語る、「自分自身のことであってさえ、人に自由などいくらもない、だからこそもっと強くなれ!」強くなって他人に振り回されずに自分の信じる道を行き、そして自分の答え(人生・運命)を見つけるのだと、アリオンを諭す獅子王の言葉に重みが増してくるのだ(個人的解釈です)

こうした、プロメテウスの怒りと哀しみ、切ない思いが読者の心に強く響き、揺さぶり、物語は大いに盛り上がって終章へと突入する。多くの伏線が一気にラストへと収束していく運びは実に素晴らしく、御大の実力の一端が垣間見れる。

そして、さあ、ラストで感動の嵐が待っている!!と、読者は一気に盛り上がるところなのだが、・・・ところが・・・、なのです。上にも書いたとおり、ラストに待っているのはあっけないエンディングだったりします。ラストの描き方は、実に詰め込み台詞で、ごくごくありふれたネタ(失礼かな?)を持ってこられて一気に気持ちが萎んでしまったり・・・

御大の作品感想で、オチの描き方が上手くない、とよく聞きますが、この「アリオン」はそのヘタオチの元祖でもあります。・・・と、書いてしまうと未読の方々の読む気を削いでしまいますか・・・?(スイマセン) でも、子供心にラストはもっと練って欲しかったなあ、ここで最高に盛り上がれば名作になったのに、と口惜しい思いをしたものです。残りページの関係で辛かったのかも知れないけれどね。

色々と勝手なことを書いてしまいましたが、2004/05現在、嶋中書店版のアリオンも刊行されております。まだ未読の方は、是非一度手にとって、ジックリと世界観や絵のタッチ、物語の構成を楽しみながら読んで欲しいですね。

2004/05/03一部修正 shinji

【あらすじ】

●トラキアの外れに、盲目の母デメテルと静かに暮らすアリオン。ある日、突然に来訪した叔父ハデスは、アリオンを偽り、地の果て冥界へと連れ去ってしまう。ハデスは母デメテルの目の病の原因は、オリンポスに君臨し同じく叔父にあたる、ゼウスにあると告げ、暗殺を教唆するのだった。叔父たちの過去の経緯を知らないアリオンは、ハデスの言葉を鵜呑みに受け止め、やがて成長した彼はギドとともにオリンポスへと向かうのだが・・・


【みんなの「アリオン」評価のページ】
http://yasw.cocolog-nifty.com/blog/2008/05/post_bfa7.html

【コミックデータ】

●今所持してるのは徳間書店の初版本ですが、流石に20年経つと経年劣化が激しいですね。もともと紙質が良くないのを使ってることもありますが、日の当たらない場所に保管してても、紙が焼けたようになっています。その点が残念。

アニメージュ・コミックス 全5巻
サイズ:B6版
出版社: 鞄ソ間書店
補足:初出のコミック。リュウ掲載時のカラーで収録。5巻以外は折込のミニポスターが付属する。現在新品は入手不能  古本は入手容易
(1)1980年11月10日:ISBN:419770111X
(2)1981年06月05日:ISBN:4197710607
(3)1982年06月15日:ISBN:4197720610
(4)1983年07月10日:ISBN:4197730705
(5)1985年01月10日:ISBN:4197750102
アニメージュ・コミックスデラックス 全3巻
サイズ:B5版
出版社: 鞄ソ間書店
補足:連載ストップ時(?)にロマンアルバム特別編集版「天涯編」が出版されるも、その後継続して刊行はされなかったが、連載終了後、映画化に伴い新装版で刊行された。現在新品は入手不能、古本は入手容易
1982年01月25日:ロマンアルバム特別編集版 天涯編
1986年01月01日:天涯編
1986年01月01日:青浪編
1986年01月01日:飛翔編
中公文庫―コミック版 全4巻
サイズ:文庫版
出版社:中央公論社
補足:カラーページ、ポスター等の付属は一切ないので、値が高く感じるかも。また、徳間の初出版とは巻ごとの区切りが違うので、やや印象が変わるかも知れない。
(1)1997年02月03日:ISBN: 4122028078
(2)1997年02月03日:ISBN: 4122028086
(3)1997年03月03日:ISBN: 4122028302
(4)1997年03月03日:ISBN: 4122028310
嶋中書店/アイランド・コミックスprimo・シリーズ
サイズ:B6
出版社:嶋中書店
補足:コンビニ版なので、基本的にはコンビニで入手することとなります。おそらく入荷部数が少なく、発売日当日から数日間しか置かれていないケースがほとんどと思われ、入手したいなら発売日に買っておくことをお薦めします。尚、ネット通販でも購入は可能。編集は3巻方式。

(1)2004年04月20日:ISBN: 4901819909
(2)2004年05月20日:ISBN: 4901819941

【神話の中のアリオン】(2004/5/3修正)

●長い期間、間違ったエピソードを掲載していたので皆さんに笑われていたことと思いますが(苦笑)このまま放置しておくのも恥ずかしいので、重い腰をあげて修正することにしました。そもそもあんまりメジャーなエピソードじゃないことと、同じ名前の詩人のエピソードがあることが勘違いを引き起こす原因になっていると思われます(言い訳ですが)。

■アレイオン アリオン Arion。(詩人アリオンとは別のエピソード)
デメテルとポセイドンの間に生まれた、神馬。

デメテルがペルセフォネを探してさまよっていた時、彼女に恋したポセイドンが後を追った。アルカディアのテルプーサで、デメテルはポセイドンを避けるために馬に変身し、オンコス王の持ち馬にまぎれた。しかし、ポセイドンはごまかされず、自ら馬に変身して彼女と交わった。そして、神馬アリオンとデスポイナが生まれた。

アリオンは最初オンコス王の所有であったが、後にヘラクレス、アドラストスの乗馬となった。テーバイ攻めの際には、その速さによってアドラストスを救っている。

幻想図書館>ファンタジー辞書 から勝手ながら引用させていただきました。
http://www.asahi-net.or.jp/~qi3m-oonk/tosyokan/


●ちなみに詩人アリオンのエピソードは・・・

アリオンは琴の名手で楽人。んで、海賊に襲われて海に身投げした時、イルカの群れが彼を助ける、というエピソードがあります。もしも、馬ネタではなく、こちらのエピソードが元ネタとして使われていたら、漫画のアリオンで彼を助けるのがペ〇サ〇ではなくて、海豚だったかもしれず、ギャグ漫画になった可能性も・・・と変な想像を膨らましてみたり。ダメですか?

↓ここのページのイラストが綺麗でお気に入りなのでリンクは残しておきます。
参考HP:星と神話と花

>神話の郷>イラストの有る神話> 楽人アリオンを救ったイルカ


星と神話

【映画版アリオン】

●この作品は完結後、1986年に映画化されています。残念ながら見る機会が無く、ビデオでさらっと見ただけで記憶に残ってなかったりしますが、現在(2006年9月)DVD版は絶版状態です。2006年12月22日に再リリース予定とのことですので、しばしお待ちを。原作とはかなり違うストーリーで賛否両論だったと思いますが、見比べてみるのも楽しいと思います。

監督・原案・脚本・キャラデザイン・作画監督:安彦良和
声の出演:中原茂/高橋美紀/田中真弓 他
製作:1986年

【DVD】
TOKUMA Anime Collection 「アリオン」
2006-12-22(金)発売予定
■「TOKUMA Anime Collection」第1弾は「機動戦士ガンダム」のキャラクターデザインを担当した安彦良和が手掛けたファンタジーアニメ。
神話を元にした世界を舞台に、ティターン一族のゼウス、ポセイドン、ハーデスと戦う少年・アリオンの活躍を描く


アリオン


【DVD】注:以下のデータは廃盤の仕様です
発売元:パイオニアLDC(株)
発売日:2001/02/23
品番:PIBA-3019
販売価格(税別) :5,800 円

収録時間:119分
画面:ビスタサイズ
音声:日本語2ch
ディスク:片面2層
特典:
●DVD用ポジテレシネ・ニューマスター仕様
●16:9スクィーズ収録
●DVD用ポジテレシネにより現存するすべての映像資料(38分)を収録 1.特報(2バージョン)/2.予告篇/3.プロモーション映像(2バージョン)
●安彦良和イラストギャラリー

【LD】

発売元:徳間書店
品番:98LX-7
販売価格(税別) :9,800 円

詳細不明



backhomeNext